2019.08.11
2020年に向けて、信州の食と酒蔵で信州ファン獲得!
NHKの大河ドラマ「いだてん」で話題沸騰の前回東京オリンピックは1964(昭和39)年。
私は4歳で両親、弟と共に東京の郊外在に住んでいました。
日本経済は後に「黄金の60年代」と呼ばれるようになる急成長期で、ライフスタイルもどんどん欧米化。母の習い事はフランス料理、父は葉巻をくわえながらブランデーを嗜み、自宅も古い日本家屋から洋風住宅へ。カラーテレビ、エアコン、ステレオ、洗濯機といった便利な家電製品が毎月のように家中へ増殖していきました。
そんな大きな変化の中で、我が家が四季折々の行事とその時々の和の料理を奇跡的に堅持したのは、父母とも伝統文化が色濃く残る金沢にルーツがあったからなのでしょうか。
春の日曜日などは一家そろって大忙し。庭で摘んだ土筆やウコギを土筆ご飯やほろ苦いウコギご飯に変え、山椒の若芽は佃煮に。おやつは梅干を包んだ竹の子の皮をチュウチュウ吸いながらヨモギ団子に舌鼓。
日が傾けばたびたび父の友人たちが来襲して大宴会。もちろん母は台所で魚や肉と孤軍奮闘し、子どもたちもお運びや赤ら顔になったお客様のお相手にかり出され、まるで料理屋の様な有様でしたが、不思議といやいややらされたと感じたことはなく、むしろ楽しい思い出として心に残っています。
たまたま信州の酒蔵へ嫁いで35年がたちましたが、これだけ長く住めば絶品野菜の農家さん、山菜やキノコ採り名人、極上漬物マイスター、川魚屋さんに、お料理自慢のおばちゃんたち・・・、と数々のご縁がつながり、今や食材には事欠きません。
半世紀ぶりにオリンピックが戻って来る2020年。山国ならではの献立に知恵を絞り、器やしつらえをあれこれ工夫して、世界から酒蔵へやって来るお客様を「信州ファン」に!
そんな企みにワクワクして寝つきが悪いのは、やはり父母から伝わる金沢の血のせいでしょうか?
宮坂 公美さん
「酒のある和やかな食卓」をテーマに、日本酒を通じて食と器の魅力を国内外に向け、「おもてなし」の楽しみとして発信