もぐもぐコラム

心も体も温まる 秋の日本酒の愉しみ方

長野県の酒蔵の数は、約80と全国で2番目の多さを誇っています。山国信州では、その土地土地での日本酒が地の食と共に昔から親しまれてきました。その日本酒は、今では四季折々にさまざまな味わいを楽しむことができます。

多種多様な県内の日本酒

日本酒の魅力はたくさんありますが、「時間経過」や「温度変化」で風味がさまざまに変わることは、他の酒類では中々みることができません。

そこで今回ご紹介させていただくのは、秋の日本酒の代名詞、「ひやおろし(冷卸し)」です。

冬から春に造られ、加熱処理をして貯蔵されたお酒は、秋になりその温度と外気温が同じくらいになると、貯蔵容器から樽に詰めて出荷されています。このお酒を「ひやおろし」と呼んでいます。

この時期の日本酒は、新酒の頃の粗さが消え、熟成したことによってまろやかで奥行きのある味わいとなり、日本酒の最も飲み頃とされています。この「ひやおろし」は、冷やしてもお燗でも美味しい上に、「その日の気温に酒の温度を合わせて飲むのが粋」とされています。

また、「酒のサカナ」として(食べ合わせもありますが)、秋のお酒とその時期の食との相性の幅の広さは、無限大と言っても過言ではありません。果物類も相性抜群です。

長野県原産地呼称管理委員会認定のひやおろし

さらに、10月1日の「日本酒の日」を皮切りに、酒蔵が収穫された新米などで新酒の仕込みを始め、多くの地酒イベント(上諏訪街道呑み歩き・長野の酒メッセ他)が盛んに行われる月でもあります。

そして、原産地呼称管理委員会(NAC)では、毎年認定する日本酒が9月ころに発表され、現在、多くの販売店でご購入いただけます。こういった地酒を年末年始のご贈答にお遣いいただくのもおススメです。

秋の味覚と合わせて、信州の秋の景色(月や紅葉など)も「酒のサカナ」に、家族や仲間とゆったりとした潤いのある温かな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?


宮島 国彦
おいしい信州ふーど公使
宮島 国彦さん
信州長野県の地酒専門店 地酒屋宮島 代表
長野県小売酒販組合連合会 青年協議会 初代会長
日本酒サービス研究会認定「日本酒 きき酒師」
SBCラジオ「ともラジ」の地酒 レギュラー指南役(2015~2018年)