もぐもぐコラム

vol.11横山公使 信州ならではの食を味わう

信州は漬物を筆頭に、発酵食文化の国です。

漬物と言えば、普通、香の物として添え物のように食卓に並びますが、わが信州は、深く漬かった野菜を調味料として使います。

 

例えば、笹寿司」(クリックで図鑑が表示されます)

 

北信濃、飯山地方の代表的な郷土食です。

戦国時代の武将、上杉謙信が川中島の合戦の際、越後と信州を結ぶ富倉街道を通ったとき、村人が笹の葉の上にご飯とおかずを一緒に載せて差し出したのが笹寿司の始まりと言われ、別名「謙信寿司」。

 

この寿司の大きな特徴は、大根の三年みそ漬けで味を調えるところです。

ぜんまいや干ししいたけを戻して刻み、やはり刻んだ大根みそ漬けで味を付けます。

発酵して、旨味を増した大根が、ほかの具材にも味を移して全体がまとまります。

 

素晴らしい、先人の知恵ですね。

笹も野山にたくさんあり、おまけに抗菌作用も持ち合わせ、謙信も感激したに違いありません。

 

 

もう一つは、やたらです。(クリックでレシピが表示されます)

「夏野菜のふりかけです」と、他県の方に説明しています。

 

丸なす、みょうが、ぼたんこしょう(伝統野菜)、きゅうりは、入れる地方と入れてはいけない地方とに分かれますが、これらをすべて8ミリ角に切り、味付けはやはり深く漬けた大根のみそ漬けを加え、調えます。

「やたら」ご飯が進むので、その名があるとか。

炊きたてのご飯に、山のように載せていただくと、夏バテ防止の素晴らしいご飯です。

これも、発酵した漬け野菜を調味料として使う、先人の発想には、頭が下がります。

 

ぜひ、他県の方に食べていただきたい思いと、地元・信州で繋げていきたいですね。

 

 

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横山タカ子
おいしい信州ふーど公使
横山タカ子さん
郷土料理研究家
2009年知事表彰(産業功労賞)受賞
長年テレビ、ラジオにレギュラー出演
身近な素材と郷土食を大切にしたおしゃれな料理が定評
著書多数